- 2025.12.17
妻である被告との離婚を実現させるために婚姻費用分担金の支払をすることなく兵糧攻めともいうべき振る舞いを続けた原告が有責配偶者に当たるとして、原告の離婚請求を棄却した事例を紹介します。
(事案の概要)
本件は、原告が、その妻である被告に対し、原告と被告とは性格、価値観等の不一致などのために4年以上にわたって別居しており、その婚姻関係は破綻に至っているから、の婚姻を継続し難い重大な事由がある旨を主張して、離婚を請求した事案です。
(判決の概要)
原告は、平成29年7月31日、一方的に被告並びに長男及び二男との別居に踏み切った後、平成30年7月11日、被告を相手方とする夫婦関係調整(離婚)調停を東京家庭裁判所に申し立て、これが同年12月13日に不成立により終了すると、それまでしていた被告に対する月額46万円の送金を停止して、平成31年2月以降、本件口頭弁論終結時に至るまで、被告に対する婚姻費用分担金の支払を一切しなかったばかりか、令和元年8月28日、被告に対し、被告並びに長男及び二男が居住する住居を賃貸したとする独自の見解を主張して、未払賃料の支払などを求める訴えを東京地方裁判所に提起するに及んでいるのであって、原告のこうした振る舞いは、正に兵糧攻めによって被告に原告の一方的な離婚の要求を受け入れさせようとするものであったということができる。
そして、以上のような事情に鑑みると、原告と被告との別居期間が4年6か月を超え、その婚姻関係が破綻するに至った原因は、一方的に被告との離婚を実現させようとした原告が、被告との別居に踏み切るにとどまらず、被告に対して婚姻費用の分担義務を負っていることを顧みることなく、兵糧攻めともいうべき身勝手な振る舞いを続け、婚姻関係の修復を困難たらしめたことにあったと認めるのが相当である。
(コメント)
婚姻費用については、別居の理由如何にかかわらず分担義務が発生するものとされています。
有責配偶者からの離婚請求というと自らの不貞行為によって婚姻関係を破綻させた者からの離婚請求が典型例となりますが、本件は、一方的に別居に踏み切った夫が離婚の要求を受入れさせるために婚姻費用の送金を停止したことをもって「兵糧攻め」にあたるとして、夫を有責配偶者と認定し、そうした離婚請求が信義誠実の原則に反すると判示したものであり、婚姻費用分担の重要性について改めて考えさせる事例といえます。


